ラベンダーが今年も花を咲かせてくれた。3度目のシーズンを迎え、年々花が増えているのでとても嬉しい。例によってアウトレット品だった彼女も、根の充実ぶりがうかがえて、感慨ひとしおである。
ラベンダーのアロマ的な効果といえば、気持ちをリラックスさせたり、よく眠れるなどと言われている。わたし自身、睡眠が不安定だった時期があり、その安眠効果を期待して育て始めたのだ。いま思えばずいぶんと遠回りな方法だと感じる。日光浴をしたり、定期的な運動を心がけたり、医師に相談するなど、もっと有効な選択肢もあっただろう。なんとも、わたしらしいと言える。
理由は極めてシンプルだった。淡い紫色の花が、寝かしつけてくれるのだ。そこに色っぽい美女を連想するのは無理もないであろう。
ラベンダーに関する妄想にお付き合いください
想像してみて欲しい。淡い紫(パープル!)の花を咲かせ、とても豊かな香りを持ち、その香りは安眠とリラックスの効果があるのだ。どの要素を切り取っても、美しい大人の女性の姿しか見えてこない。スレンダーで色白、ゆるいウェーブがかった黒髪はセミロングで、ネグリジェ姿である。もちろんサテン系のテロテロした生地だ。間違いない。そこに団地っぽさは皆無である。
優しく包容力があるが、相手のことをしっかり思いやれる気持ちの熱さも持ち合わせている。かと言ってしつこい部分はカケラもなく、いい意味でさっぱりしている。リラックスさせてくれて、寝かしつけてくれるのだが、逆にドキドキしちゃって眠れないんじゃないかと心配にもなる。
そんな完璧な女性なら、いっそ結婚すればいいじゃないか、と言う声も聞こえてくるが、ちょっと違うのだ。ラベンダーは完璧な女性であるが、完璧に過ぎるのである。悲しいかな、根っからの愛人気質とでも言うのであろうか、ラベンダーとは結婚できないんだ。わたしも悲しい
美しく芯が強い女性 ラベンダー
わたしの偏見と妄想はいい加減にして、植物としてのラベンダーの話に戻ろう。そんな色っぽい花がわたしのベランダにもいる。なぜなら他の一般的なハーブ同様にとても丈夫なのである。(芯が強い女性とか最高じゃないか)水はけの良い土を用意して、風通しよく整えてやればぐんぐん大きくなる。ぐんぐん大きくなった結果、ワイルド過ぎてイメージを損なう気がしたので、先ほど収穫した。
麻紐でまとめ、枕元に吊るしておく。咲いてから摘み取った方が華やかになるのだが、花がポロポロと落ちることがあるので、蕾の状態で切ってしまうのが良いだろう。本数にして8本だが、香りは驚くほど豊かである。
今後、しばらくはこのラベンダーがわたしを寝かしつけてくれる。香りがどれくらい続くかは未知数だ。香りが飛んでなくなってしまうまでに、次の花を摘むことはできるであろうか。そうでなければ、ラベンダーの香りがする恋人ができるであろうか。わたしの安眠がかかっているのである。
2015,7 梅雨 小雨