東風は吹いたか #ウメ

日本人は古く奈良時代からウメを愛でてきた。かの有名な菅原道真公がウメをこよなく愛していたことから、天神様のシンボルにもなっている。天神さん(親しみを込めてこう呼びたい)は学業の神様ということで、受験期にお世話になった人も多いだろう。北野天満宮(京都)と太宰府天満宮(福岡)は全国的にも有名である。

わたし個人の思い入れが強いのは、亀戸天神社(東京)だ。特に4月下旬からの藤まつりが良い。心字池に朱色の太鼓橋、紫色のフジがとても美しいので、東京にいる方は是非訪れて欲しい。参拝の後には船橋屋であんみつでも食べれば上々のデートになるし、亀戸の餃子やホルモン屋さんを楽しめば完全に仕上がる。

バラ科サクラ属

さて、話をウメに戻そう。ウメの品種は500以上存在すると言われている。サクラより一足早く春を告げる花だ。その魅力はまるく優しい花びらや、主張し過ぎないやわらかな香りだ。もはや説明不要と思う。わたしがここで提案したいのは、その幹、樹形や枝ぶりのおもしろさである。

「サクラ切(伐)る馬鹿、ウメ切(伐)らぬ馬鹿」

そんなことわざを聞いたことがあるだろうか。栽培上の注意を示したものである。サクラと違って、ウメは枝を更新(剪定)して若返らせることが必要である。花や実の付きをよくする為だ。

その結果ウメの木は、幹はしっかりと年を重ねているが剪定により枝先は若い状態になる。この老木と若い枝が一本の木の中に現れるのが、サクラにはない特徴だ。自然体で威風堂々と態度のデカいサクラの老木も良いが、人間と植物の共同作品として、キッチュなウメの樹形もまた面白い。そんなところも注目してもらえると、より楽しめるかもしれない。保証はしない。

東風吹かばにほひおこせよ

3月は、フクジュソウ、ボケ、ウメ、スイセン、ヒヤシンスを撮ることができたので、良しとしましょう。
【2016.3〜5月】見ごろ予想+撮りたい花リスト #ウメ – 私的植物生活概論

 

2016,3 晴れ