花壇に水をやるじじいに遭遇した。
ステテコ、白いヘンリーネック(シニア向け)、らくだ色の腹巻き、サンダルといった漫画から飛び出してきたようなスタイル。その姿を形容するなら「気だるい」というのが適切だ。おしりを掻きながらジョウロを傾ける先には、バラとクレマチスの蕾が充実していた。
わたしの倍以上は先輩であろう彼は、生まれた場所から、今までの経験、使っているスマホなど、ほとんどの要素が違っているだろう。(あのじいさんが真っ赤なNexus5を使っている可能性も0ではないが)
とにかく、そんな人生の先輩たるじいさんと、ボタニカル的な意味でわたしは同じなのである。クレマチスからしたら、我々はただのヒト科のホモサピエンスだ。この事実はなかなか面白く、愛おしい。こういった風景を見るたびに、あんなボタニカルジジイになりたいと思う。
もうちょっと生きてみようかと思えるのだ。