花器で勝負あり #バラ

要素の反復というのは、デザインする際の初歩である。フラワーアレンジにおいてもその手法は大変有効なのだ。例として、オレンジ色のバラを反復させただけのアレンジメントを見るとわかりやすい。

仕事関係でイベント会場の花を任された。というか去年のイベント時に見た際に、花があまりに見すぼらしかったので、立候補してやらせてもらったのである。同じ予算でもっといいものを作ると約束して。久しぶりに作ったが、思ったより身体が覚えていたのでとても楽しかった。問題は花材の入手だった。

お盆 is 線香

あらかじめ、いくつか生花店の管理状態や種類、そして予算チェックして店を決めておいた。だが、花材を買いに行ったのが14日の午後で、お店全体が盆花中心になっていた。これは「お盆」という個人的にはあんまり馴染みがないイベントを、まるっと失念していたわたしのミスだ。

キクにリンドウ、ガマ、グラジオラス、ワレモコウ、スターチスなど…仏花以外に何を作れって言うんだ…。名前を並べただけでもお線香の香りがするし、なんなら関連商品として販売すらしていた。申し訳程度に残されていた洋花ゾーンで、カスミソウやヒマワリ、カーネーション、オリエンタルリリーなどを確保したが、状態が良いとは言えない。冷や汗が出た。そんな中で仕入れたばかりのオレンジのバラがあったことだけは幸運だった。「まだ戦える」と、自分を奮い立たせる理由として、36本のバラは充分であった。

花器に収まるオレンジのバラ

バラを確保できたのも幸運だったが、この花器が会場にあったのも幸運だった。事前に確認しておいて良かった。このアレンジは完全に花器ありきである。イメージ通りハマってくれてとても満足だ。

今日の仕事 #rose

Takeshi Kuriharaさん(@kuriharat)が投稿した写真 –

 

あとは申し訳程度の花で、申し訳程度に会食のテーブルに小さいアレンジを7つ作った。こちらのメインは食事であり、歓談であるので、特に誰にも見られない。ただわたしの満足のためだけに、奴らは飾られたようなものだ。

こうしてわたしは、好きな花を好きなように飾ることができた。しかも例年より低予算で、同等かそれ以上の物を作った(当社比)。そしてわたしが満足し、得意になってこの文章を書いている。やはり花は楽しいなぁ

2015,8 晴れ