大和撫子が俺の助けを待っている #ナデシコ

ナデシコといえば、機動戦艦ナデシコや、サッカー日本女子代表なでしこジャパンを思い浮かべるだろう。「大和撫子」などという表現にもあるように、ナデシコは古くから日本の植物界における愛らしい女性なのだ。

どうも古臭い印象が付きまとい、わたしは育てたことがない。写真は近所の公民館で撮ったものである。鮮やかなピンク色と、キリッとした花びら、華奢だが軽やかに揺れる姿は確かに美女のようだ。これを機会に、ナデシコと「大和撫子」について考えたいと思う。

ナデシコ(ナデシコ科ナデシコ属)

日本に古くより自生していたのは、カワラナデシコと呼ばれる品種である。秋の七草のひとつでもあり、広く親しまれていた。源氏物語や枕草子にも登場している花だ。平安時代には大陸からセキチクが渡来し、四季咲きの性格を持つことから「トコナツ」と呼ばれた。

中国から来たナデシコ(トコナツ)と、日本古来のカワラナデシコを区別するため、大和撫子【日本のナデシコ】という言葉が誕生したという説もある。

「四季咲き」って?

生育環境次第で季節関係なく咲く花。多くは、春と秋に咲く。コスモスが「秋桜」と言いながら今の時期咲いてたりするのはこのためである。ミニバラやナデシコも四季咲きの品種が多い。

トコナツとカワラナデシコなどを含む、種間交雑による園芸種が多く作られ、色彩、花弁の形が豊富に生まれた。江戸時代の園芸ブームの際はキク、アサガオとともに人気の植物であったそうだ。生物分類上、カーネーションはナデシコ属の一種である。

ナデシコは日本の気候に合っているため、育てるのも難しくない。枯れた花をこまめに摘んでやると、つぎつぎと蕾をせり出してくる。耐寒性もあり地植えにすると、ほぼ間違いなく毎年芽が出てくる。美しく健気で凛と咲くようすを、大和撫子と見立てる気持ちもよく理解できる。

大和撫子(日本の女性は美しい)

Google検索してみると、「誰からも愛される大和撫子、7の掟」とか「男が惚れなおす大和撫子になろう」「繊細で可憐な大和撫子になるには」などなど、恋愛コラムニストの記事が散見される。また、古きよき女性、控え目で男性を立てる、みたいなイメージがあり、現代では必ずしも褒め言葉にならない。などの考察もあった。めんどくせぇ

美しい肌、髪、凛とした佇まいと仕草、控え目だが付け焼き刃でない教養を持ち、男性を立てる、芯が強く、時折見せる少女の顔がが可愛らしい……。二次元かよ

まったく、ナデシコを引き合いにだして恋愛を語るなよ、と。ナデシコには残念ながらこういう部分があるので、育てて一緒に暮らそうと考えなかったのだ。だが、たった今考えを変えた。わたしもナデシコを育てようと思う。美しい花を咲かせ、その説得力を持って、恋愛コラムのネタにされるナデシコを救ってやろう決めた。ナデシコ、待っていてくれ。

大和撫子 – アンサイクロペディア

2015,7 梅雨 くもり