わたしは歌舞伎にもワンピースにも特別な思い入れがないのです。
歌舞伎を観るのは4回目だし、そもそも歌舞伎に限らず、ライブやコンサートなど観劇という趣味を持っていません。ライブ感のあるものとして「Jリーグ観戦」は大好き。ワンピースについては、最初から続けて読んでるから、途中で止められないという、海外ドラマみたいな扱いです。無人島に漫画持って行くなら迷わずスラムダンクを選びます。
そんなわたしが、スーパー歌舞伎Ⅱ「ワンピース」を観てきました。
結果、とても楽しかったんだ。
スーパー歌舞伎Ⅱ ワンピース <特設サイト> 主演 市川猿之助
内容については、素敵なレポートがあるので、そちらを読んでみてください。
2次元と3次元の間
http://www.onepiece-kabuki.com
ワンピースが漫画の世界を飛び出したわけなんですが、飛び出したと言ってもそこには舞台という枠があって、劇場という空間的な制限がある。観客の視線はほとんど舞台上に集まりますし、完全な3次元でもないのかな、と思いました。
視線が集まる舞台上は完全な立体ではなく、絵画的な表現になっています。でも、遠近法ぽいパースペクティブの利いた視点ではないんですよ、ステージって。パース図よりもアクソメ図に近い表現ですかね。これ伝わるでしょうか。立体ではないけど、立体らしく表現している手法がとてもおもしろく感じました。ここでは仮に「3次元弱の世界」と表現しておきます。
舞台の仕掛け
いわゆる2.5次元よりも3次元に近いという意味で「3次元弱」と言いましたが、この感じを出している大きな要因は「花道」にあると思います。ボン・クレーが花道を六方しながら引っ込んでいく感じたまらなかったですね。あれ「飛び六方」ってやつですか? また、今回のスーパー歌舞伎においてはワイヤーアクションや、客席に演者やクジラが出てくる演出もあり、舞台上にとどまらないライブ感は単純に楽しかったです。
「定式幕=歌舞伎」
三本線=アディダス、黒丸3つ=ミッ◯ー、みたいな感じで定着しているこの幕も、ワンピース仕様になっています。色かっこいいなーと思って観てましたが、全部が終わってエンドロールの仕掛けがとても感動しました。あれいわゆるプロジェクションマッピング的な手法なのかしら。とにかく、けっこうビックリなシーンだったので、最後まで席を立たないように。
アウトローな傾奇者と海賊
「正義は人の数だけある」なんてよく言われますが、ワンピースでもわたしが好きなガンダムでもそれは当てはまります。基本的には海軍政府が「正義」で、海賊が「悪」なんですが、そうとも限らないのがワンピースの面白いところであり人気を博している部分だと思います。
アウトローに肩入れしたり贔屓するのは、傾奇者なんて呼ばれる歌舞伎の世界でもそうなのでしょう。だからこそ、ワンピース歌舞伎が賛否ありつつもハマっているんですね。
ただ、舞台には劇場という空間的な制限と、公演時間という制限もあります。原作からカットされてしまった部分も多々あり、全体的に海賊側に肩入れしすぎている印象でした。三大将とか完全に極悪人だったし。ハンニャバル副署長の名シーンは欲しかったですね。
何を貴様らシャバで悪名上げただけの海賊に謀反人
何が兄貴を助けるだ
社会のゴミが綺麗事ぬかすな
貴様らが海へ出て存在するだけで
庶民は愛する者を失う恐怖で夜も眠れないか弱き人々にご安心頂くために凶悪な犯罪者達を閉じ込めておく
ここは地獄の大砦
それが破れちゃこの世は恐怖のドン底じゃろうがぃ
出さんと言ったら一歩も出さん
というハンニャバルの覚悟に対してルフィ、
おれはエースの命が大事だ!だからどけ!!
やだもう…この…ゴムゴムのバカ
原作は今の流行、表現は伝統。
突っ込みどころとか、ぐちゃぐちゃ感はあるにせよ。行って良かったと思っています。知らない世界を観るというのはいつも刺激的です。新橋演舞場では11/25で千秋楽となりました。京都か大阪講演があるかもしれませんし、海外公演もやるかもしれないので、気になる方はぜひ。
歌舞伎にもワンピースにも特別な思い入れがないわたしでしたが、ワンピースとの距離感は変わらず、歌舞伎や観劇に興味が出てきました。何から勉強すればいいのかしら
2015,11