ナスは色がいい。カテゴリとしては「紫」に入れたが、粋に「茄子紺」と呼びたい。野菜のナスはもちろん、花も茎も葉脈も茄子紺である。その潔さもまた格好いい。何より食べて美味しい。焼きナス、天ぷら、焼き浸し、麻婆茄子、カポナータ、浅漬など、大好きである。しかし、栄養価として特記すべき事項はあまり無い。味と色彩の美しさのみで、これまで愛されてきたのだ。
美しい色彩と、独特のフォルムは手ぬぐいなどの柄としてもポピュラーである。また、「ナス」の響きに「成す」をかけて、縁起の良いモチーフなのだ。もちろん、わたしはこういうタイプの言葉遊びが好きなので、愛用している。色もお気に入りだ。コード的には「#824880」や「R:130 G:72 B:128」で表される。
ナスの花もナス色
全国的にいろいろな品種が栽培され、郷土野菜的な扱いになっている品種も多い。味と色だけでなく、育てやすさという点でも、日本人好みなのだろう。わたしが畑で育てているのは千両2号という比較的スタンダードなタイプのナスである。先日、花が咲いていた。カサカサした軽い花ではあるが、しっかりとナスの色を示している。もうナス以外の野菜になりようがないほど、ナスナスしている。花は、いわゆる茄子のヘタになる部分だ。
そしてしっかりナスに成った。「親の意見と茄子(なすび)の花は千に一つの無駄もない」などと言われている通りだった。ナスの花は咲けば必ず実がなるように、親が子を思っての忠告も必ず役に立つので、親の意見はよく聞くべきだということらしい。ちなみに同じようなことわざとして、「冷や酒と親の意見は後できく」などというのもある。
嫁と食べたい
親の意見はともかく、さっそく焼茄子にして食べた。
茄子紺が格好いいとか言いながら、その皮を剥いでいる。しかし美味しい。この感動を、皆さんとシェアしたいと思う。ぜひやってみて欲しい。嫁に食わすな、みたいなイビりをする奴は許さない。皆で食べて、美味しさを分かち合おうではないか。
2015,7 雨