植物や花は、さまざまな名前を持つ。学名、和名、園芸品種名、流通名…。分類学者目線か生産者目線か、園芸愛好家目線か、それぞれの立場で名前の由来が異なるのも楽しい。
生態的特徴、生産された地名、品種の系譜が反映されたもの、女王の名前、見た目の特徴、生産者の妻などさまざまで、「名は体を表す」ということわざを素直に思い出す。ナス(千両二号)はとても型番ぽいし、コメ(コシヒカリ)は家系のストーリーが感じられる。ハイビスカス(レッドスター)はカッコつけてるがちょっと滑った感がある。
その絶妙なダサさも愛おしい
今回の記事で紹介するのは西洋梨(洋ナシ)だ。まずはいくつか例を挙げるので、その品種名のカッコ良さを知ってもらいたい。
名は体を表す
- ラ・フランス
- ル・レクチェ
- バートレット
- オーロラ
- ゼネラル・レクラーク
- マルゲリット・マリーラ
- シルバーベル
- バラード
- プレコース
このラインナップ、感じのいい店のワインリストかと。フランス産、イギリス産、アメリカ産など、名前の雰囲気から出身地を何となく想像するのも楽しい。大体当たると思うので、興味がある人は検索してみて欲しい。
写真は先日スーパーで買ってきたバラードという品種の洋ナシだ。文学的で愛にあふれたこの品種は、山形出身である。海外出身選手に全然負けてない。山形県立園芸試験場にて生まれ、「バーレット」と「ラ・フランス」を両親にもつバラードは1999年に品種登録されている。収穫時には黄緑色をしているが、追熟して黄色になると食べ頃だ。
顔の見える生鮮
近頃はスーパーで売られている野菜や果物にも、生産地や生産者の名前が明記されているものが多い。この洋ナシは長野の田中さんちで育った洋ナシである。きっと甘いだろう。まだ食べてないけど、わたしにはわかる。田中さんの農作物への愛の詩、つまり「田中さんのバラード」なのだ。甘いに決っている
末尾に、ケツメイシの「バラード」を貼っておきますね。
2015,10 晴れ