植物たちの夏の過ごし方はなかなか面白い。ぐったりしつつひたすら耐え忍ぶ奴、さっさと枯れて根としてやり過ごす奴、暑さと太陽を最大限取り込み利用して生きる奴。夏野菜や夏の花、ヒマワリ、ハイビスカスなどにただならぬパワーを感じるのは、暑さに真正面から向かっていく姿に憧れるからだ。
今年の春から、小さい畑を借りて、野菜を作っている。梅雨のぐずつきにかなり心配したが、夏の日差しを浴びてグングン成長してきた。先日、トマトの小さく黄色い花をニヤニヤ見ていたのだが、気づいたらもうトマトっぽくなっていた。
トマトの青い実
そのトマトは完全に緑色なのだが、表現としては「まだ青い」と言う。これはミニトマトではなく、通常のサイズのトマトである。拳くらいの大きさになり赤く熟したら、ポロシャツ(白)の袖でさっと拭ってかぶりつきたいと思っている。トマトのハイライトシーンになるのだ。
収穫してすぐ食べるのが美味しいそうだ。もぎ取ってかぶりつくどころか、まだ枝にぶら下がっている状態のトマトを直でかぶりつく方が美味しい、と生産者の方から聞いた。わたしはこの手の非科学的な根拠をすんなり信じるほど素直ではないが、その農家さんの気持ちは好きだ。だから美味しいのである。
もぎたてはぬるい(温度的な意味で)
でも、キンキンに冷やした方が美味しいんじゃないかと、疑惑を持っているのも事実だ。ぬるい野菜や果物に対して、あまり良い印象を持ってないのだ。ビニールハウスで行われるイチゴ狩りより、スーパーに売ってる冷たいイチゴの方が好きなのだ。トマトも、キンキンに冷やしてよく切れる包丁でスライスして、軽く岩塩かけて食べたい気持ちがあるのを否定できない。
困った。シャキッと冷たいトマトを食べたいのだが、それでは農家さんの気持ちを裏切ることになる。このトマトの場合、生産者はわたし自身なのでそんなに問題ないのだが、ちょっとモヤっとしてしまう。加えて、ポロシャツ(白)の袖でさっと拭ってかぶりつくシーンが再現できないのだ。
圧倒的速さで冷やす
ここはひとつ、収穫してすぐに、圧倒的速さでにキンキンに冷やしてかぶりつく、という折衷案を採用したいと思う。トマトの美味しさを損なうことなく、生産者(わたし)のメンツも潰さずに済む。ポロシャツ(白)の件ができないが、これはあまり重要ではない。おそらく冷蔵庫や冷凍庫レベルではダメだろう、「もぎたて感」が弱まってしまう。冷たい渓流でも近所にあればいいが、さすがに車で20分くらいかかってしまう。
ついに学研の科学と学習で得た知識を実践する時がきたのだ。
2015,7 晴れ