国産材の利用を煽っていきたい #カラマツ

期間限定とか数量限定とか、煽り文句が添えられるとつい気になってしまう。世界初!! 日本最大級!! 都内で唯一!! 全米が泣いた!! などなど。今回紹介する植物にも煽り文句が添えられる。日本で唯一の落葉針葉樹「カラマツ」だ。

紅葉するカラマツ

あえて曇り空と撮ってみた。

カラマツ(別名:落葉松)の紅葉は美しい黄金色だ。群生している様子を距離をおいて眺めるのが美しいと思う。針葉樹の鋭利なシルエットが立ち並ぶ姿は圧巻である。また、単体で樹形が美しいカラマツというのはなかなかお目にかかれない。その理由は、カラマツ林の成り立ちに要因がある。

丈夫で生育が早い

育苗が容易で、寒さにも強いカラマツの生態的特徴は、寒冷地の植林に最適であった。北海道や長野県ではカラマツの人工林が多く観察できる。大規模な山火事があったことや、戦後の木材需要が高まったことなどから、大規模な造林地が誕生した。

しかし、カラマツの材木としての品質はあまり良くなかった。硬く丈夫であるが螺旋状に繊維が成長するため、乾燥後は割れや狂いが出やすく、使いにくいのだ。極めつけは1964年(S39)の木材の輸入前面自由化である。カラマツに限らず、国内の木材の供給は激減、5年後には外国材の供給量が上回っている。

需要が多かったから植樹(植林)したのに、生育したら使いにくく、安い外国材に押され、カラマツ林を手入れする人が減ってしまったのだ。間伐されないカラマツ林では、細くひょろっと伸びた奴らが、窮屈そうに並んでいるのだ。そんな環境だから、単体で樹形が美しい奴は少ないのだ。何て……そんな…

カラマツだってがんばってるんだから!

そんな不憫なカラマツではあるが、近年のエコっぽいムーブメントの高まりや木工技術の向上などを受け、少しずつ見直されはじめている。合板や集成材など割れやねじれの影響を受けない形で利用されている。皮肉なことに、量はいっぱいあるので比較的安価で手に入るのだ。また、チップやペレット状にして燃料として使うことも可能になったのである。

カラマツに時代が追いついてきた。

2015,12 晴れ