親愛なる祖母「はるこ」と「もとえ」 #ベンジャミン

強行採決*1が云々とか、ラブでピースとか、戦争反対とかを、植物目線で鮮やかに斬る!みたいなことがやりたい気持ちもあるのだが、それらについて語る言葉を持っていないのである。残念だ。

その代わり、ラブでピースな話題がないかと探してみた。フィカス・ベンジャミンがあった。フィカス系、一般的にゴムの木と総称される観葉植物の一種である。

ベンジャミンに縋る女

斑入りのカサカサした葉が風に揺れる様子が爽やかだ。このベンジャミンは、わたしの部屋に来て2ヶ月ほどになる。苗ポットで購入してきて、100円ショップのプラ鉢に植え替えたとたん、半分ほど葉が落ちた。購入時には3本の枝が仕立てられていたが、そのうち2本は環境の変化に順応できず枯れていった。最後の1本は何とか持ちこたえてくれたので、厳戒態勢で養生している。

さらっと「枯れた」と書いたが、けっこう堪えている。原因がわからないからツラい。わたしの何がいけないの!? 教えてよ! ちゃんと直すから……。カラオケの映像でよく見る重たい女の気持ちが痛いほどよくわかる。育て方を調べると「乾いたらたっぷり水をやろう」とか出てくるが、ほぼ全ての植物に書いてあることなので、とても当てにならない。その具合がわからないから困っているのに。

具合を見る。水をやる #チランジア – 私的植物生活概論

環境に順応できない奴が枯れていくのは、植物界において絶対の掟であり、憲法みたいなものだ。頭でわかっているけれど、一緒に生活していた奴が死んでいくのは胸が痛い。特にこのベンジャミンには思い入れがある。(念のため言っておくが、他の植物に思い入れがないわけでは無い)

ラブでピースなほっこりエピソード

母方の祖母「はるこ」が好きな植物だったそうだ。少し大きめの鉢で腰丈くらいに仕立てたベンジャミン、その横で写真に映る祖母を見たことがある。わたしが植物にハマる前にばあちゃんは死んでしまったので、本人から直接聞いたことはない。そして、父方の祖母「もとえ」も植物を育てていた。シクラメンやら、リーガスベゴニア、シャコバサボテンなどだ。こちらのばあちゃんとも、本人とその話をしたことがない。

彼女たちと園芸趣味のネタで盛り上がった経験などないのに、ほんのりと思い出すことがあるから不思議である。そんなハートフルなエピソードがあるため、このベンジャミンを枯らす訳にはいかないのだ。まぁ、もし枯らしてしまっても、そんなこと彼女たちなら当然経験しているだろうから、わたしの胸の痛みをトレースしてくれるはずだ。

というように、ダメだった場合の予防線を張り、最善を尽くした姿勢をアピールつつ、ほっこりエピソードで好感度を上げようという政治家も顔負けのセルフブランディングを展開している。

2015,7 雨